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環境共生銭湯<みうら>

 ハンマムはイスラム世界に特有の公衆浴場、つまり銭湯である。日本のように湯船はなく蒸気の立ちこめる蒸し風呂で、内部は温度別に3つほどの部屋に分かれている。利用者たちはここで寝そべって休んだり、体を洗ったりする。
 イスラム法に則った都市計画では、街を建設する際はまずモスクとハンマム(公衆浴場)を作らなければならないとされている。城壁に囲まれたイスラム都市フェズメディナの中にもハンマムは全部で49件ある。その分布は分散しており、各町内に一件くらいの割合であることになる。
 ハンマムの入り口は奥まっていてわかりにくいことが多いのだが、パンを焼く香ばしいにおいをたどっていくとハンマムに辿り着くことが多い。銭湯とパンの関係?銭湯とコーヒー牛乳の関係ならすぐに思い浮かぶが、銭湯とパンという組み合わせにはすぐにはピンと来ないかもしれない。

 実はフェズメディナに49件あるハンマムのうち12件はパン焼き釜が併設されているのだ。これは率にして24%ほどで、結構な率である。もちろんこれは偶然ではない。その理由は熱源の共有にある。ハンマムのお湯を沸かす熱源は薪である。その薪を焚く釜でパンを焼いているのである。そのため片側にはハンマム、焚き口の側にはパン屋と言う配置になるのである。
 これは考えてみると非常に効率がいい。本来なら別々になる熱源を共有するわけだから、熱と薪を無駄にしないですむ。懐中電灯とラジオをくっつけるよりはずっと理にかなっていると思う。
 また、メディナ内の家には風呂やシャワーがない場合がほとんどであるが、これは昔から近所のハンマムに通っていたためだ。最も日本でも各家庭に風呂がない時代は、銭湯やもらい風呂という習慣があったわけだが・・・。
 エネルギー効率の観点から考えると、各家庭で熱源を持っているというのはとても無駄が多い。それを数カ所に集中させ、さらにパンまで焼いてしまう。さらにパン屋はパンを焼くだけでなく、各家庭でつくった生地を持ち込みで焼いてくれる(わずかな焼き賃だけ払えばいい)ので、家にパンを焼くための設備を置く必要がない。
 熱源である薪は循環資源であるし、薪の運搬にはロバを使っている。何と環境に配慮されていることか。しかも驚くべきことに、こういったことが都市計画に組み込まれ、何百年も前から続けられていると言う。これはひとえに少ない資源を有効に使うことを目指した先人の知恵であろう。砂漠という厳しい環境で生まれたイスラム教の知恵の中にはこの他にも水の独占を禁止する規則など、共生の思想が色濃く反映されている。ハンマムは現代人に多くのことを示唆する環境共生銭湯なのである。hamam.jpg

  1. 2005/05/08(日) 03:36:24|
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インドネシア初のむち打ち刑

 インドネシア・ナングロアチェ州で今月24日、イスラム法(イスラーム法、当記事で
  1. 2005/06/17(金) 13:12:22 |
  2. 砂糖不使用だよ。

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